2024年末2025年初、世界のエネルギー需要が拡大し、CO2排出量が4年連続で過去最高を更新する中、中国の動向が世界の注目を集めている。中国は国家戦略として掲げる「双炭(ダブルカーボン)」目標に向け、歴史的なエネルギーシステムの転換を加速させています。

「双炭」:中国が描く2060年までのロードマップ2030年までのカーボンピークアウト
(炭素達峰): 排出量を減少に転じさせる。2060年までのカーボンニュートラル(炭素中和):実質排出ゼロを実現します。

この実現に向け、中国は包括的な政策体系である「1+N」フレームワークを導入しました。さらに、古いシステムを壊す前に新しいシステムを構築する「先立後破(Build before break)」という現実的なアプローチを採っています。これは、石炭火力を即座に廃止するのではなく、再エネを補完する柔軟なバックアップ電源として活用しながら、ソフトランディングを目指す戦略です。

爆発的な再エネ普及と「新三様」の台頭
2024年は、中国のエネルギー転換において象徴的な1年とでした。
逆転する設備容量:2025年初頭、風力と太陽光の合計設備容量14.08億kW(1,408GW)が、初めて石炭火力を上回った。2024年だけで3.58億kW(358GW)が新設されており、これは毎日原発1基分に相当する再エネ設備が建設されている計算になります。

経済構造の変化:太陽光パネル、リチウムイオン電池、電気自動車(EV)からなる「新三様」が新たな経済成長のエンジンとなり、クリーンエネルギー部門は中国のGDP成長の1割強に貢献しています。

電力システムへの影響
この膨大な設備容量は、実際の発電量や経済構造にも大きな変化をもたらしています。電源構成(2024年実績値)を見ると、中国の全発電設備の新設分(4.29億kW)のうち、83%以上を風力と太陽光が占めています。総発電量における風力・太陽光のシェアは18.1%に達しました。依然として石炭火力が58%を占める主力電源ではあるが、2020年のシェア(9%)からわずか4年で倍増しており、その成長スピードは驚異的です。

世界へのインパクトと今後の展望
中国による再エネの大量導入は、関連技術のコストを過去10年間で60%〜90%低下させました。これにより、世界の新規再エネプロジェクトの9割以上が既存の化石燃料発電よりも安価になり、世界全体のエネルギー転換を後押しする結果となっています。
中国の電力システムは今、単に再エネを「追加」する段階から、既存の化石燃料を「代替」する段階へと移行しつつあります。2025年上半期には火力発電量が減少に転じており、中国のカーボンピークアウトは当初の目標である2030年よりも前倒しで達成される可能性が高まっています。
参照:
Statistical Review of World Energy 2025年版(The Energy Institute, KPMG, Kearney)
China Energy Transition Review 2025(Muyi Yang, Biqing Yang, Sam Butler-Sloss, Euan Graham)
2024年度中国電力市場発展報告(電力計画設計総院)